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茨城県南エリア「三つ巴の激戦」
ヨークベニマル・カスミ・アピタ 茨城県南エリア「三つ巴の激戦」レポート 商圏リサーチ編
三つ巴、四つ巴の激戦エリアはなぜ勃発したのか?戦いの行方を予測する。
有限会社ソルブ 林原安徳
はじめに
子供用のビニールプールで、子供同士が水鉄砲を打ちあう姿は微笑ましいが、そこに大人が4人入って、互いに喧嘩しあっていたらどうだろう。ほとんど狂喜の沙汰である。
こうした異常な状況が、茨城県の南部、取手駅の西隣、千葉県との県境、利根川沿いに拡がる守谷市で起きている。
守谷市の人口は63,208人(2013年3月末)。ここに、ふつうのスーパーマーケットはもとより大型のショッピングセンター、モールが集中出店し、大激戦を繰り返している。そこに昨10月、ヨークベニマルがHCホーマックとともに出店した。
なぜ、このような大過剰とわかりながら参戦が相次ぐのか、そして、今後はどうなるのか。分析していきたい。
◆大きなポテンシャルを秘めた地域
まず、グラフ甲(注1)をご覧いただきたい。
これは、日本全国における1993年から2003年までの10年間(以下、「前10年」)の人口伸び率を横軸に、2003年から2013年まで(以下「後10年」)の同率を縦軸にして、都道府県をプロットしたものである。
この図からわかるように、前10年には、あきらかに増加中の県が多かった。しかし、後10年は状況が一変、マイナスになる県が37となり、全国平均でもマイナスである。
増加しているのは沖縄県を除き、すべて大都市がある都県のみである。地方は軒並みマイナスである。そして、この傾向は茨城県とて例外ではない。後10年でマイナス1・5%である。
しかし、これを茨城県の市別にみるとどうなるか。市町村合併があったで比較可能な20市でみてみると一目瞭然(グラフ乙)。
各市の人口密度(注2)はそのほとんどで減少している。
また、増加している市でもその増加度合は僅かであり、数%から十%未満である。
ところが、守谷市のみ22%ときわめて高い増加を示している(20年間で見ると49%増だ)。これが、各社、守谷市を狙い打ちした最大の理由だ。
すなわち、全国の多くで人口減少が進む中、守谷市を中心としたこのエリアは現在も急増中であり、最も将来需要が期待できると考えたからに他ならない。
果たしてこれが吉とでるか、凶と出るか。
今回の激戦エリア
今回は、複雑になり過ぎることを避け、ヨークベニマルがオープンした地域近隣ほぼ3km内に限って分析を行った(地図)。
この範囲は、以下のように3つの互いに独立した住宅街が形成されている。
A守谷南エリア
関東鉄道常総線とつくばエクスプレスが交差する守谷駅よりおおむね南側に広がる住宅街である。守谷市の中でもここが最も人口が厚い。人口314百人(注3)。ここで大型商業施設(注4)が4つ巴の激戦をしている。
B守谷北エリア
Aエリアと人口が少ない田畑林野を挟んでその北側に広がる住宅街である。ヨークベニマル新店を含め3つの商業施設が戦いあう。人口は230百人。
Cエリア
さらに北側は、利根川の支流、鬼怒川によって分断された住宅地域がある。ここにはフードマーケットカスミがある。人口19百人。
◆統計情報の分析
0.経年推移
3エリアはいずれも人口、世帯数は95年以来一方的な右肩上がりである(注5)。A守谷南エリアで50%増。B守谷北エリアで37%増。Cエリアに至っては548%増である。
これに対して、小売業はこの10年間(1997年–2007年)でどう変化したか。
Aエリアにおいては店舗数は微増だが、販売額は2.1倍の446億円と急増している。この中には2007年6月に開店したイオンタウン守谷は含まれていない。
Bエリアはどうか。店舗数は微減。そして販売額にいたっては99年をピークに大幅な減少し、201億円になっている。
Cエリアは店舗数、販売額ともに急増の一途であり、額は21億円である。。
ところで、地域の小売販売に対する実需はどれくらいあるだろうか?
これは、人口に106.2万円(注6)を乗じることで計算できる。すると、Aエリアは314百人なので、333.5億円、同様にBエリアは244.3億円、Cエリアは20億円と出る。
奇しくも、Bエリアの販売額は実需の82%であり、また、Cエリアはほぼ同一であり、この2エリアは需給バランスがとれていたことが統計からはっきりわかる。
しかし、Aエリアでの販売額は実需の134%である。
これは、Aエリアでは、この住宅地外からの大きな購買流入があることを示している。
すなわち、遠隔地からの来店である。
ところで、メッシュとの位置関係からジョイフル本田守谷店周りで128億円、アクロスモール守谷周りで67億円の販売額が推定できる。これは、駐車台数それぞれ2040台、1186台とほぼ比例している。
この関係が変わらないと仮定した場合、イオンタウン守谷(1900台)の販売額はおおむね100億円であろうと推定できる。
するとAエリアでの現時点での販売額は550億円であろう。
とまれ、この550億円は獲得可能な販売額であろうか?実需の165%であるからだ。
東京都内で最も消費購買力の高い地域の一つで、住民も多く、購買流入の高い「吉祥寺」周辺2kmで見てみる。販売額2900億円に対して、実需が178千人=1898億円である。その比率は153%である。立地や来店手段が大きく異なるとはいえ、これが達成可能な最大と考えられる。したがって、165%は、このAエリアでの想定に無理がある。
となると、何が言えるか。
AエリアとBエリアに大きな違いが見られる。すなわち、Aエリアに30歳代から40歳代にかけての層、0歳代から10歳代までの層がきわめて多い。
子供を抱えた比較的若い夫婦のイメージがこのAエリアにはある。
これに対して、Bエリアは違う。すでに親の手を離れ独立間近かな子供と同居する年配の親。
0歳代から60歳代までまんべんなく分布している。
ただし、共通項もある。いずれのエリアも高齢者の比率がきわめて低い。
若く消費性向の高い住民ばかりと言えるかもしれない。
Cエリアは人口が少ないため、グラフは極端な形になっているがAエリアに近い状況と思われる。
通勤・通学に関してA,B両エリアは自家用車が半数であるとともに、かつ鉄道が4分の1を占めていることから、首都圏のベッドタウン的役割を果たしていると考えることができる。
年収別世帯数は、A.B両エリア共に、茨城県平均と比べるとやや低い傾向にあることが見て取れる。
過去の実績から人口を予測する(注7)と、今後20年間、増加の一途であることがわかる。2025年には、Aエリアは493百人、Bエリアは273百人、Cエリアは67百人である。
1人当たりの購買力が現在と変わらないとすると、実需はAエリア524億円、Bエリアは290億円、Cは71億円である。
さて、思い出してほしい。これだけ実需があるならばAエリアの販売額550億円は楽にクリアできそうである。
そして、むしろ、Bエリアにおける現状の201億円は、実需290億円に遠く及ばない。
まだ、90億円もの余裕があることになる。
すなわち、これで明らかになったことは、2つある。
ヨークベニマルの出店は、将来を見越してのBエリアでの出店であったということだ。その意味で、戦略的に、現時点でこの場所を押さえておくことは全く正しいと言えよう。もし、自社が出なければ他社に取られる。みすみす見逃す手はない。
そして、もう一つ、現在から、その時までどう堪えるかである。
それを推測するには、Aエリアにおける現況の対戦状況をどう把握するかである。ここでは、その立地対比でみて行こう。
◆立地分析
Aエリアにおけるイオンタウン守谷の出店は明らかに、地元に頼らず、広域からの来店を期待している。それは、駐車台数1900はもちろん国道294号線に近接した造り、および、他の商業施設よりも最も「守谷駅」に近いという地の利から見えてくる。
これに対して、他はどうか。確かに、ジョイフル本田はHCだけでなく食品スーパーの機能を持ち合わせ駐車場も2040台と最大である。また、アクロスモールも広大な敷地と1100台を超える駐車場を持っているオープンモールである。
しかし、このいずれの立地も共通する難点がある。すなわち、商業施設が面する道路(店前道路)に延伸性がないということである。
北上するとBエリアを貫き、その北端から国道294に合流して終わる。
南下すると、右左折しない限り、同幹線と並行して走りながら、国道6線に出て終わる。
その間、店前道路は多数の信号と出会う。国道を普段利用する車が、この道路を用いる必然性に乏しい。
もちろん、イオンタウン守谷ができるまでは、それでもこれらの商業施設は地域における希少性と利便性からじゅうぶんな販売ができたであろうことは想像に難くない。
とはいえ、今となっては、この店前道路の延伸性のなさがきわめて問題になってくる。
国道からすぐのところで用が足せるのに、なぜわざわざ住宅街の中に入っていく必要があろうか。
Bエリア
そして、今回のヨークベニマルの出店はどうか。上と同じ延伸性のない道路に沿っている。そのうえイオンタウンが出来た後のこの時期に出店するということは、その顧客ターゲットのメインは、Bエリアの住民であろう。
では、そのその住民からの認知はどうか。Bエリア住民の100%がこの店前道路を通るがゆえに、アピタ同様、その認知はほぼ100%可能であろう。
しかし、現状のままなら、住民の消費購買力には限界がある。まだまだ、宅地化できる土地が残っているとはいえ、国道を超えての商圏の広がりには難があり、人口増加が果たして理論通りに行くかどうかは予断を許さない。
両店とも決して、油断するわけには行かないことは確かだ。
注1)住民基本台帳による。各年3月末時点。
ゼンリン社製電子地図帳Z15を使って計測した近似値で公表された値とは必ずしも一致しない。
注2)人口だけでは、市町村合併がおきているために正しく比較ができない。したがって、ここでは人口密度(人/km)を用いた比較を行った。
注3)国勢調査2010年、4次メッシュで集計した。
注4)ここでは、スーパーマーケット以上の売場面積を持つ一体の施設を指している。したがって、個人商店、コンビニは含めない。また、モール、およびオープンモールは1つと数えている。
注5)いずれも国勢調査。ただし、集計は3次メッシュで行っているので合計に4次メッシュとでは若干の差異が生じる。
注6)商業統計調査(2007年)での小売業年間販売額の総合計を国勢調査(2005年)の人口で除したもので、1人当り年間の購買額と想定することができる。
注7)コーホート変化率法によって人口を予測した。
23/06/12
22/05/20
21/12/30
21/08/04
21/08/03
21/08/01
21/07/31
21/07/10
21/07/09
21/07/08
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ヨークベニマル・カスミ・アピタ 茨城県南エリア「三つ巴の激戦」レポート 商圏リサーチ編
三つ巴、四つ巴の激戦エリアはなぜ勃発したのか?戦いの行方を予測する。
有限会社ソルブ 林原安徳
はじめに
子供用のビニールプールで、子供同士が水鉄砲を打ちあう姿は微笑ましいが、そこに大人が4人入って、互いに喧嘩しあっていたらどうだろう。ほとんど狂喜の沙汰である。
こうした異常な状況が、茨城県の南部、取手駅の西隣、千葉県との県境、利根川沿いに拡がる守谷市で起きている。
守谷市の人口は63,208人(2013年3月末)。ここに、ふつうのスーパーマーケットはもとより大型のショッピングセンター、モールが集中出店し、大激戦を繰り返している。そこに昨10月、ヨークベニマルがHCホーマックとともに出店した。
なぜ、このような大過剰とわかりながら参戦が相次ぐのか、そして、今後はどうなるのか。分析していきたい。
◆大きなポテンシャルを秘めた地域
まず、グラフ甲(注1)をご覧いただきたい。
これは、日本全国における1993年から2003年までの10年間(以下、「前10年」)の人口伸び率を横軸に、2003年から2013年まで(以下「後10年」)の同率を縦軸にして、都道府県をプロットしたものである。
この図からわかるように、前10年には、あきらかに増加中の県が多かった。しかし、後10年は状況が一変、マイナスになる県が37となり、全国平均でもマイナスである。
増加しているのは沖縄県を除き、すべて大都市がある都県のみである。地方は軒並みマイナスである。そして、この傾向は茨城県とて例外ではない。後10年でマイナス1・5%である。
しかし、これを茨城県の市別にみるとどうなるか。市町村合併があったで比較可能な20市でみてみると一目瞭然(グラフ乙)。
各市の人口密度(注2)はそのほとんどで減少している。
また、増加している市でもその増加度合は僅かであり、数%から十%未満である。
ところが、守谷市のみ22%ときわめて高い増加を示している(20年間で見ると49%増だ)。これが、各社、守谷市を狙い打ちした最大の理由だ。
すなわち、全国の多くで人口減少が進む中、守谷市を中心としたこのエリアは現在も急増中であり、最も将来需要が期待できると考えたからに他ならない。
果たしてこれが吉とでるか、凶と出るか。
今回の激戦エリア
今回は、複雑になり過ぎることを避け、ヨークベニマルがオープンした地域近隣ほぼ3km内に限って分析を行った(地図)。
この範囲は、以下のように3つの互いに独立した住宅街が形成されている。
A守谷南エリア
関東鉄道常総線とつくばエクスプレスが交差する守谷駅よりおおむね南側に広がる住宅街である。守谷市の中でもここが最も人口が厚い。人口314百人(注3)。ここで大型商業施設(注4)が4つ巴の激戦をしている。
B守谷北エリア
Aエリアと人口が少ない田畑林野を挟んでその北側に広がる住宅街である。ヨークベニマル新店を含め3つの商業施設が戦いあう。人口は230百人。
Cエリア
さらに北側は、利根川の支流、鬼怒川によって分断された住宅地域がある。ここにはフードマーケットカスミがある。人口19百人。
◆統計情報の分析
0.経年推移
3エリアはいずれも人口、世帯数は95年以来一方的な右肩上がりである(注5)。A守谷南エリアで50%増。B守谷北エリアで37%増。Cエリアに至っては548%増である。
これに対して、小売業はこの10年間(1997年–2007年)でどう変化したか。
Aエリアにおいては店舗数は微増だが、販売額は2.1倍の446億円と急増している。この中には2007年6月に開店したイオンタウン守谷は含まれていない。
Bエリアはどうか。店舗数は微減。そして販売額にいたっては99年をピークに大幅な減少し、201億円になっている。
Cエリアは店舗数、販売額ともに急増の一途であり、額は21億円である。。
ところで、地域の小売販売に対する実需はどれくらいあるだろうか?
これは、人口に106.2万円(注6)を乗じることで計算できる。すると、Aエリアは314百人なので、333.5億円、同様にBエリアは244.3億円、Cエリアは20億円と出る。
奇しくも、Bエリアの販売額は実需の82%であり、また、Cエリアはほぼ同一であり、この2エリアは需給バランスがとれていたことが統計からはっきりわかる。
しかし、Aエリアでの販売額は実需の134%である。
これは、Aエリアでは、この住宅地外からの大きな購買流入があることを示している。
すなわち、遠隔地からの来店である。
ところで、メッシュとの位置関係からジョイフル本田守谷店周りで128億円、アクロスモール守谷周りで67億円の販売額が推定できる。これは、駐車台数それぞれ2040台、1186台とほぼ比例している。
この関係が変わらないと仮定した場合、イオンタウン守谷(1900台)の販売額はおおむね100億円であろうと推定できる。
するとAエリアでの現時点での販売額は550億円であろう。
とまれ、この550億円は獲得可能な販売額であろうか?実需の165%であるからだ。
東京都内で最も消費購買力の高い地域の一つで、住民も多く、購買流入の高い「吉祥寺」周辺2kmで見てみる。販売額2900億円に対して、実需が178千人=1898億円である。その比率は153%である。立地や来店手段が大きく異なるとはいえ、これが達成可能な最大と考えられる。したがって、165%は、このAエリアでの想定に無理がある。
となると、何が言えるか。
AエリアとBエリアに大きな違いが見られる。すなわち、Aエリアに30歳代から40歳代にかけての層、0歳代から10歳代までの層がきわめて多い。
子供を抱えた比較的若い夫婦のイメージがこのAエリアにはある。
これに対して、Bエリアは違う。すでに親の手を離れ独立間近かな子供と同居する年配の親。
0歳代から60歳代までまんべんなく分布している。
ただし、共通項もある。いずれのエリアも高齢者の比率がきわめて低い。
若く消費性向の高い住民ばかりと言えるかもしれない。
Cエリアは人口が少ないため、グラフは極端な形になっているがAエリアに近い状況と思われる。
通勤・通学に関してA,B両エリアは自家用車が半数であるとともに、かつ鉄道が4分の1を占めていることから、首都圏のベッドタウン的役割を果たしていると考えることができる。
年収別世帯数は、A.B両エリア共に、茨城県平均と比べるとやや低い傾向にあることが見て取れる。
過去の実績から人口を予測する(注7)と、今後20年間、増加の一途であることがわかる。2025年には、Aエリアは493百人、Bエリアは273百人、Cエリアは67百人である。
1人当たりの購買力が現在と変わらないとすると、実需はAエリア524億円、Bエリアは290億円、Cは71億円である。
さて、思い出してほしい。これだけ実需があるならばAエリアの販売額550億円は楽にクリアできそうである。
そして、むしろ、Bエリアにおける現状の201億円は、実需290億円に遠く及ばない。
まだ、90億円もの余裕があることになる。
すなわち、これで明らかになったことは、2つある。
ヨークベニマルの出店は、将来を見越してのBエリアでの出店であったということだ。その意味で、戦略的に、現時点でこの場所を押さえておくことは全く正しいと言えよう。もし、自社が出なければ他社に取られる。みすみす見逃す手はない。
そして、もう一つ、現在から、その時までどう堪えるかである。
それを推測するには、Aエリアにおける現況の対戦状況をどう把握するかである。ここでは、その立地対比でみて行こう。
◆立地分析
Aエリアにおけるイオンタウン守谷の出店は明らかに、地元に頼らず、広域からの来店を期待している。それは、駐車台数1900はもちろん国道294号線に近接した造り、および、他の商業施設よりも最も「守谷駅」に近いという地の利から見えてくる。
これに対して、他はどうか。確かに、ジョイフル本田はHCだけでなく食品スーパーの機能を持ち合わせ駐車場も2040台と最大である。また、アクロスモールも広大な敷地と1100台を超える駐車場を持っているオープンモールである。
しかし、このいずれの立地も共通する難点がある。すなわち、商業施設が面する道路(店前道路)に延伸性がないということである。
北上するとBエリアを貫き、その北端から国道294に合流して終わる。
南下すると、右左折しない限り、同幹線と並行して走りながら、国道6線に出て終わる。
その間、店前道路は多数の信号と出会う。国道を普段利用する車が、この道路を用いる必然性に乏しい。
もちろん、イオンタウン守谷ができるまでは、それでもこれらの商業施設は地域における希少性と利便性からじゅうぶんな販売ができたであろうことは想像に難くない。
とはいえ、今となっては、この店前道路の延伸性のなさがきわめて問題になってくる。
国道からすぐのところで用が足せるのに、なぜわざわざ住宅街の中に入っていく必要があろうか。
Bエリア
そして、今回のヨークベニマルの出店はどうか。上と同じ延伸性のない道路に沿っている。そのうえイオンタウンが出来た後のこの時期に出店するということは、その顧客ターゲットのメインは、Bエリアの住民であろう。
では、そのその住民からの認知はどうか。Bエリア住民の100%がこの店前道路を通るがゆえに、アピタ同様、その認知はほぼ100%可能であろう。
しかし、現状のままなら、住民の消費購買力には限界がある。まだまだ、宅地化できる土地が残っているとはいえ、国道を超えての商圏の広がりには難があり、人口増加が果たして理論通りに行くかどうかは予断を許さない。
両店とも決して、油断するわけには行かないことは確かだ。
注1)住民基本台帳による。各年3月末時点。
ゼンリン社製電子地図帳Z15を使って計測した近似値で公表された値とは必ずしも一致しない。
注2)人口だけでは、市町村合併がおきているために正しく比較ができない。したがって、ここでは人口密度(人/km)を用いた比較を行った。
注3)国勢調査2010年、4次メッシュで集計した。
注4)ここでは、スーパーマーケット以上の売場面積を持つ一体の施設を指している。したがって、個人商店、コンビニは含めない。また、モール、およびオープンモールは1つと数えている。
注5)いずれも国勢調査。ただし、集計は3次メッシュで行っているので合計に4次メッシュとでは若干の差異が生じる。
注6)商業統計調査(2007年)での小売業年間販売額の総合計を国勢調査(2005年)の人口で除したもので、1人当り年間の購買額と想定することができる。
注7)コーホート変化率法によって人口を予測した。