ファミリーマートの「am/pm店舗再配置」はどうなるか  月刊コンビニ連載2010年5月号

(有)ソルブ 林原安徳

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ファミリーマートの「am/pm店舗再配置」はどうなるか  月刊コンビニ連載2010年5月号

出店戦略,月刊コンビニ

2017/10/28 ファミリーマートの「am/pm店舗再配置」はどうなるか  月刊コンビニ連載2010年5月号

ファミリーマートの「am/pm店舗再配置」はどうなるか  月刊コンビニ連載2010年5月号

 売上予測コンサルティング(有)ソルブ

 代表 林原安徳

 

本稿では、ファミリーマートがam/pmを店舗リストラおよび看板変えを行うにあたって、その程度がどのくらいになるのか、そして想定されうる出店立地上の問題は何か、考察していく。

【現状分析】

まず、現状について。

東京都内には、本年1月時点でコンビニエンスストアは主なチェーンのみで6324店存在する(月刊コンビニ3月号「データバンク」より)。東京都の人口1299万人であるから、1店舗当たりの人口は2,054人である。全国では、2,810人である(12,743万人÷45335店)から、いかに東京の人口が多いとはいえ、その過密ぶりがわかる。いや、実際の過剰密度ぶりはこんなものではない。後にも触れるが、商圏人口が6200人強の大塚で16店舗ものコンビニエンスストアがひしめき、1600人強の神谷町で同13店舗が出店している。このような「超」過密出店地域は都内の随所にある(ここで「商圏」とは、特に断らない限り、徒歩来店が可能な300メートル圏とした)。

では、各チェーンの商圏はどのようになっているであろうか?これを、人口と小売年間販売額の2つの統計指標で見ていく。ただし、各コンビニ店舗すべてを分析対象としたいのであるが、そのすべてを網羅できるのは2009年2月の時点である。また、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKとサンクス、am/pm、ミニストップ以外のチェーンは「その他」としたが、「その他」には、コミュニティストア、ポプラ(「生活彩家」含む)、スリーエフ、デイリーヤマザキが含まれる。

図表1、2の通り、商圏人口はおおむね2000人超~6000人以下に集中している。

fm2010-1-2

また、5000人未満の店舗数が7割弱を占めている。

ただし、ファミリーマートとam/pmは7割を超えており、全体的に商圏人口が少なめである。

ところで、年間小売販売額は、その街のマーケット規模を表す統計指標である。

そこで、街の規模別に、コンビニ各社の比率を見てみると(図表3)その違いが顕著にわかる。街の規模が小さいところではセブンイレブンが34%を占め圧倒的な強みを発揮している。

fm2010-3-4

これに対して、街の規模が大きい地域、たとえば、新宿や渋谷、池袋、銀座といった超広域マーケットを含む300m圏内の小売年間販売額が1000億円を超えるような地域では、am/pmそしてファミリーマートがそれぞれ28%、22%とこの2チェーンだけで5割を占めている。商圏人口が少ないぶん、こうした商業流入(購買流入)の大きいところへ積極的に進出していることがわかる。

これは、図表4-1の新宿、同4-2の渋谷で顕著に現れている。

 fm2010-4-5

つまり、ファミリーマートとam/pmは、結果的にきわめて似たような出店配置をしていたことがわかる。

では、このように似たような配置で、今後うまく行くのだろうか。この検証を行っていこう。

 

【全体的な検証】

まず、全体的な検証を行っていこう。

図表5には、自社ブランド間の距離がどのくらい離れているのかを調べたものである。

100m未満からおおむね100m刻みで階級を作ってある。問題となるのは、300m圏内である。

互いに200m程度の自店舗の商圏を確保するには、原則として各店同士が400mの間隔を開けなければならない。

例外はあるもののこれを忠実に行っているのは、セブンイレブンである。そのセブンイレブンの店舗間距離は図表6の通り、300m以下の店は全体の24%、4店に1店に過ぎない。

ひるがえって、ファミリーマートでは31%を越え、am/pmに至っては49%とおよそ半分の店が300m以内である。これでは、すでに、大きな同ブランド競合を起こしていると見てよいだろう。

では、ここで、この2つのブランドが1つになった場合を想定する。

 

すると、図表7のとおりになる。

fm2010-6-7

なんと、店舗間距離が300以内になる店舗数が全体の54.5%となる。これは、現状のam/pmよりも5%増えている。店舗数では886店。セブンイレブンでは387店であるから、500店以上も余計に不振店を作ってしまうことになりかねない。

公表資料(*)によるとファミリーマート社は、「ブランド統一によるシナジー効果」を期待しており、とりわけ東京でのNo1チェーンになることを目指している。果たして、それは可能だろうか。

弊社の立地理論においてが、同名ブランドが隣同士で激突すると、互いに30%のダメージを与えることが検証されている。現状すでに他社ブランドとの競合に晒され、じゅうぶんな売上げを確保できていない中での1ブランド化=新たな同名ブランド競合には相当なリスクがあると見て良い。

 

では、既存のファミリーマートを守り、マイナスの影響が出ないようにするためにam/pm店舗のリロケーションを行うとしたらどうなるか。あくまでも、試算だが、図表8の通りになって、買収したam/pmの550店舗中、実に542店舗をリロケートしなければならないことになる。

fm2010-8-9

 

どうしてこのようなことになるのか。問題は、すでにファミリーマートにせよ、am/pmにせよ、互いにきわめて接近した店舗配置をしていて、そのブランドの同一化をすると、さらに厳しい接近戦となるばかりか、今まで別ブランドであるために競合しなかった所においても意図せぬ競合が発生することにある。

 

そうは言ってもここまでは、計算上のことである。実際の立地ともなれば、影響は少ないことも考えられる。そこで、次は、個別の状況を検証していこう。

【個別の検証】

個別の検証をしていくならば、まだほとんど競争に晒されていないような無風地域よりも、すでに大きな競争状態にあるような地域で見ていくほうが、推測が立てやすいであろう。

そこで、300m以内の人口と購買人口、そして昼間人口の3つを合計した人口をその地点の潜在ポテンシャルとした。ちなみに、購買人口とは、先ほどの小売年間販売額を全国1人当り平均購買額(=107万円)で割ったものであり、その地域でどれだけ購買するための流入があるかを人口で示したものである。

ファミリーマート(1077店)、am/pm(550店)すべてにおいて、人口の最大は9,281人、昼間人口の最大は61,026人、購買人口の最大は、393,935人である。

これらを合計した潜在ポテンシャルを、300m圏内にある全コンビニ店数で割ったものが、「1店当り人口」である。この「1店当り人口」の最大は、53,964人であり、これはam/pm新宿4丁目店の位置である。2位がファミリーマート南池袋一丁目店の39,071人、以下超広域マーケットの店が続く(図表9)。

 

確かにこれらの店ならば、同一ブランドへの変換と配置はじゅうぶん問題なくやっていけると考えられる。

図表10には、「1店当り人口」が2000人未満の店を示してある。

fm2010-10

こうした店のうち、同業店がないか、少ないam/pm店は何とかなろう。問題は、多くの同業店に囲まれている店である。表の左に#記号を付けたものは、同業店が2桁である。

#2、#3、#4に着目してみよう。

これらは、いずれもJR大塚駅に近いところにある。

図表11は、am/pm(4)を中心に300圏内の状況を示している。

この中でam/pm(1)から(4)までの4店舗は、きわめて立地上の道理に適った場所に出店している。

それに対して、ファミリーマート(1)、(2)は、立地的にam/pmに負けている。

したがって、仮に、am/pmのすべてがファミリーマートに変換したとするならば、ファミリーマート(1)および、ファミリーマート(2)は大きな打撃を受けることは必至である。

また、am/pm(5)もファミリーマートに変換することによって、元々あったファミリーマート(2)の影響をモロに受けることになり、経営難に陥ることがじゅうぶん予想される。

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図表12は、JR代々木駅周辺を表している。

am/pm(1)は、代々木駅の正面、交差点角地に位置しており、代々木駅を利用する人々のほぼ100%が認知し得る。このam/pmがファミリーマートになるならば、300m以内のほぼすべてのファミリーマートに負の影響を与えるだろう。とりわけ、セブンイレブンと隣接しているファミリーマート(3)は深刻な経営危機に陥ることが推測される。こうしたことを避けるには、am/pm(1)をクローズするしかない。

ただし、そうした場合、セブンイレブンがリロケートしてこないとも言い切れず、その場合はもちろんすべてのファミリーマートが負の影響を受ける。

 

図表13は、 京王線 桜上水駅周辺である。

ここも、駅前のベストロケーションに、am/pmが出店している。したがって、このam/pmをファミリーマートに変換すると、ファミリーマート(2)は確実に大きな打撃を受けるに違いない。かと言って、ここを閉鎖すれば、代々木駅同様、セブンイレブンがリロケートしてくることは必至である。

 fm2010-13

【総括】

コンビニエンスストアの大半は、フランチャイズ加盟店である。したがって、オーナーの意向を無視することはできず、容易に業態変換やリロケートなどはできない。しかも、マイナスの影響を受けることが必至とくれば尚更のことである。

とりわけ、am/pmは、ファストフード並みに立地が良い場所に出店していることが多い。それだけ、高い家賃を支払っているのは事実であろうが、かといって、これをファミリーマートに変換することで収益の増大が望めるかどうかは未知数である。なぜなら、すでにほとんどのエリアでファミリーマート自体が出店を果たしており、同一ブランド間競合が起きざるを得ないと考えられるからである。

加えて、既存のファミリーマートのほうが深刻な負の影響を受けるとあっては何のための看板変えかわからなくなる。am/pmにしてもファミリーマートにしても、それなりの店数を成し遂げた現時点における同一ブランドでの展開は、慎重にも慎重を期した対応を期待したいと思う。

 

 
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