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店の前より、客は後ろから来る
「1週間でできる立地判定」【第10回】店の前より、背中が大事。「客は後ろから来る」
一般的に、店舗は角地にあるほうが、そうでないよりも立地が良いとされています。また、交差点角地のほうが、ただの角地よりも良いとも言われます。
これはどうしてでしょうか?
答えは簡単です。角地にあるほうが、そうでないよりも“商圏”が広がるからです。
もし、店が前面道路にだけ面していたとすれば、たいていは、その道路に沿って商圏は伸びるものです。
図1は、東京の郊外で、角地ではないところで、5分の徒歩圏を描いたものです(注1)。
図1
道路が東西に伸びていますから、商圏も東西に伸びる傾向にあります。人口は547人です(注2)。
これに対して、50mだけ西に動かし、やはり5分の徒歩圏を描きました。すると、図2のように明らかに商圏が上下に広がります。人口も563人に増えました。
図2
今度は逆に、東に350m動かしましょう。すると、交差点の角地になります。商圏はさらに広がりました(図3)。人口は775人です。
図3
このように、角地の方が、商圏人口が増える傾向にあることが証明されました。
これは、角地が立地として良いことの第一の理由です。
角地が良い理由は、実はもっと他にあります。そして、その方がもっと重要なのです。
たいてい店を出そうとするなら、少しでも広い道、人通りの多い道に出したいはずです。これは理に叶っています。一般的に道は広ければ広いほど周辺に住む人々の生活に重要なものになります。ですから、家の前は狭くても、少しでも広い道に出ようとします。
そうして、川が支流を集めて広い川になるのと同じように、角地に人が集まってきます。
また、土地の全体が平坦である場合は別として、多くの場合、その広い道は、周辺の土地より高度が低いのです。時には、川岸に沿っているような場合もあります。
するとこの高低差が人々を集めます。物件まわりが窪地になっているような場合は特にこうした傾向があります。
つまり、角地は、人を呼ぶのです。ですから、TG(TrafficGenerator)と言って良いでしょう。
そして、前面道路ではなく、店の横を通る道こそ、お店の後ろのほうに住んでいる人々が来店してくれる道路なのです。こういった地域を、お店の「後背地」と呼んでいます。
この後背地に、新しい住宅街や、マンション、事業所ビルなどがあることがとても重要なのです。「客は後ろから来る」というのはこういうことです。
すると、角地が良い理由はお分かりでしょう。要するに、その後背地に住んでいる人たちにとって、その場所がとても便利な場所だということなのです。到達容易性がきわめて良い、とも言います。
ですから、先ほど図1と図2で人口がさほど大きく違わない(547人と563人)と思った人もいたかもしれませんが、この違いはたいへん大きな違いなのです。図1の547人は、店に来るには50mも歩かなければなりません。ですから、547人のうち何人がお客になってくれるかわかりませんね。でも、図2ならば、自分たちの動線上にあるので563人全員がお客さんになってくれそうだということがわかります。
店が、角地にあれば、人々にとって、行動線上にあります。なければ、行動線上にありません。この違いは天と地ほども繁盛具合に影響してきます。ましてや、今日ほど競争の激しい状況はありません。少しでも便利な場所のコンビニ、近いコンビニに人々が行こうとするのは当然のことです。
もう一つ、角地であると優位なことがあります。第三の理由です。これは、ガードレールが途切れていたり、店前に横断歩道ができていたり、信号機があったりと、道行く人々や車ドライバーが楽に接近でき、注視し、立寄ることが容易になることです。
また、このことは、店の見え易さもよくなることも意味しています。
この利点は、街路樹の多い生活道路沿いや産業道路沿いに出店するような場合では特に重視しておきたいことです。
角地にあれば、道路の反対側車線を走る車でさえ、Uターンして戻ってくるなどという手間はかからないので、じゅうぶん顧客にできる可能性が出てきます。
また、店のある敷地に駐車スペースが作れない場合でも、角地であれば、その側道にそって空き地を見つけ駐車スペースにすることも容易です。角地であればこその芸当でしょう。
物件が角地にない、あるいは、角地なのだけれど、後背地に人々がいない、側道がすぐに行き止まりになってしまう。そういった立地は要注意というわけです。
キャプション
図4 東京での有数の激戦区 大塚500m圏で勝ち残った店
注1. 使用ソフト「統計てきめん」、地図使用承認Ⓒ昭文社第55G15号
注2. 2010年国勢調査
23/06/12
22/05/20
21/12/30
21/08/04
21/08/03
21/08/01
21/07/31
21/07/10
21/07/09
21/07/08
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「1週間でできる立地判定」【第10回】店の前より、背中が大事。「客は後ろから来る」
一般的に、店舗は角地にあるほうが、そうでないよりも立地が良いとされています。また、交差点角地のほうが、ただの角地よりも良いとも言われます。
これはどうしてでしょうか?
答えは簡単です。角地にあるほうが、そうでないよりも“商圏”が広がるからです。
もし、店が前面道路にだけ面していたとすれば、たいていは、その道路に沿って商圏は伸びるものです。
図1は、東京の郊外で、角地ではないところで、5分の徒歩圏を描いたものです(注1)。
図1
道路が東西に伸びていますから、商圏も東西に伸びる傾向にあります。人口は547人です(注2)。
これに対して、50mだけ西に動かし、やはり5分の徒歩圏を描きました。すると、図2のように明らかに商圏が上下に広がります。人口も563人に増えました。
図2
今度は逆に、東に350m動かしましょう。すると、交差点の角地になります。商圏はさらに広がりました(図3)。人口は775人です。
図3
このように、角地の方が、商圏人口が増える傾向にあることが証明されました。
これは、角地が立地として良いことの第一の理由です。
角地が良い理由は、実はもっと他にあります。そして、その方がもっと重要なのです。
たいてい店を出そうとするなら、少しでも広い道、人通りの多い道に出したいはずです。これは理に叶っています。一般的に道は広ければ広いほど周辺に住む人々の生活に重要なものになります。ですから、家の前は狭くても、少しでも広い道に出ようとします。
そうして、川が支流を集めて広い川になるのと同じように、角地に人が集まってきます。
また、土地の全体が平坦である場合は別として、多くの場合、その広い道は、周辺の土地より高度が低いのです。時には、川岸に沿っているような場合もあります。
するとこの高低差が人々を集めます。物件まわりが窪地になっているような場合は特にこうした傾向があります。
つまり、角地は、人を呼ぶのです。ですから、TG(TrafficGenerator)と言って良いでしょう。
そして、前面道路ではなく、店の横を通る道こそ、お店の後ろのほうに住んでいる人々が来店してくれる道路なのです。こういった地域を、お店の「後背地」と呼んでいます。
この後背地に、新しい住宅街や、マンション、事業所ビルなどがあることがとても重要なのです。「客は後ろから来る」というのはこういうことです。
すると、角地が良い理由はお分かりでしょう。要するに、その後背地に住んでいる人たちにとって、その場所がとても便利な場所だということなのです。到達容易性がきわめて良い、とも言います。
ですから、先ほど図1と図2で人口がさほど大きく違わない(547人と563人)と思った人もいたかもしれませんが、この違いはたいへん大きな違いなのです。図1の547人は、店に来るには50mも歩かなければなりません。ですから、547人のうち何人がお客になってくれるかわかりませんね。でも、図2ならば、自分たちの動線上にあるので563人全員がお客さんになってくれそうだということがわかります。
店が、角地にあれば、人々にとって、行動線上にあります。なければ、行動線上にありません。この違いは天と地ほども繁盛具合に影響してきます。ましてや、今日ほど競争の激しい状況はありません。少しでも便利な場所のコンビニ、近いコンビニに人々が行こうとするのは当然のことです。
もう一つ、角地であると優位なことがあります。第三の理由です。これは、ガードレールが途切れていたり、店前に横断歩道ができていたり、信号機があったりと、道行く人々や車ドライバーが楽に接近でき、注視し、立寄ることが容易になることです。
また、このことは、店の見え易さもよくなることも意味しています。
この利点は、街路樹の多い生活道路沿いや産業道路沿いに出店するような場合では特に重視しておきたいことです。
角地にあれば、道路の反対側車線を走る車でさえ、Uターンして戻ってくるなどという手間はかからないので、じゅうぶん顧客にできる可能性が出てきます。
また、店のある敷地に駐車スペースが作れない場合でも、角地であれば、その側道にそって空き地を見つけ駐車スペースにすることも容易です。角地であればこその芸当でしょう。
物件が角地にない、あるいは、角地なのだけれど、後背地に人々がいない、側道がすぐに行き止まりになってしまう。そういった立地は要注意というわけです。
キャプション
図4 東京での有数の激戦区 大塚500m圏で勝ち残った店
注1. 使用ソフト「統計てきめん」、地図使用承認Ⓒ昭文社第55G15号
注2. 2010年国勢調査