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大きなポテンシャルがある立地
「1週間でできる立地判定」【第2回】 大きなポテンシャルが近くにある立地
大きなポテンシャルが近くにある立地
住んでいる所、働いている所、用事で出かける所、それらの「近く」に店があることは便利=コンビニエンスです。つまり、こういう場所にコンビニエンスストアがなければ、人々は納得しません。しかし、店の側から言えば、その「近く」に多くの人々がいることが繁盛する条件です。
ポテンシャルクラスター(PC)
そうです。この店の近くにある人々がたくさんいるような施設、あるいは地域は、お客様になってくれるポテンシャル(潜在性、可能性)を多分に持っているのです。
とはいえ、半径100メートル、ないし300メートルの円を描いて、その中に住む人口を集計すれば、そのポテンシャルがわかる、売上予測ができる、そんな単純な話しではありません。
むしろ、地形や人々の集まり方が特殊であるような場所、地域であるとひじょうに繁盛しやすいということが分かっています。これが、ポテンシャルクラスター(PC)です。
どういうように特殊かというと、3つの特殊条件を挙げることができます。
第一の特殊性。密集性。
これは、言わずもがな人々が密集していることです。密集して暮らしている。密集して就業している。そのようなことがなければなりません。
第二の特殊性。囲み。
この地域が、自然や人工のさまざまなもので囲まれていて、閉鎖的な状態になっていることです。中から、好きな方向へ好きなように行ったり来たりできるわけではないということです。例えば、ある住宅街の周囲が大きな山や河川に囲まれている、田畑に囲まれている、産業道路のような横断し難い幹線道路が走っている、といった状態にあることです。
第三の特殊性。少ない出入口。
地域の周囲が囲まれていると、その中にいる人々の行動は限定的になっていきます。つまり、その地域を出入りする場所が、たいへん少ないようなことになります。1カ所しかない、あるいは2、3カ所しかないということもよく起こります。
たとえば、図2は、ある地方都市の近くに見られたポテンシャルクラスターですが、周囲は田畑や用水路に囲まれていて、道も狭いため車で行き来できません。唯一、往来できるのは北側の道路です。そして、その北側の道路が最初に出会う交差点で、人々は初めてどの方向にも行けるようになります。
その交差点は、ここのポテンシャルクラスターに住む人々のほとんどが通る場所です。こういう場所は、「ポテンシャルクラスター由来のトラフィックジェネレーター(PC由来のTG:ティージー[交通発生源])」と呼びます。
こういう場所は、典型的な繁盛立地です。
PCは地域でもあり、施設でもある
ポテンシャルクラスターという立地の言葉は、最初、図2のような地域に対して名付けられたものです。ですから、面的な広がりをもったものでした。
図3は、海に面した地域によく見つかるポテンシャルクラスターです。これなどは、南側が海、両側を大きな河に囲まれ、北側を幹線道路が横切っています。そのため、出入りする場所がいくつかに限られてしまいます。もちろん、そうした出入口は、PC由来のTGという繁盛立地です。
PCの探し方
地図を見ていくだけでも、PCを見つけることができます。一番わかりやすいのは、「○○団地」とか、「○○住宅」というように地域に名前が付けられているようなところです。
そして、そういった所の住人が最寄りの幹線道路に出る際に、どこに出てくるか、そこの住民になったつもりで考えるとPC由来のTGも見つけることができます。
もちろん、地図よりも、実際に現場に行って、実査することが重要です。
すると、その周辺がPCのような構造になっていることが判明したりします。そして、候補物件が、その動線上にあるならば好立地と判断できるでしょう(図4)。
超高層マンション
また、ポテンシャルクラスターは、住民が暮らしているような地域とは限りません。就業者が集まっている地域や、流通団地や工場団地のように、車やトラックが頻繁に出入りするような地域にも当てはまります。
さて、最近、40階建てとか50階建てというような超高層マンションがよく建てられるようになりました。これは、3つの特殊性のどれもが当てはまります。
つまり、①密集性、②囲み、③少ない出入口の3つです。
ですから、典型的なポテンシャルクラスターということができます。事実、超高層マンションが1棟建っていれば、それだけで中型のスーパーマーケットの経営が成立してしまうほどです。
もちろん、コンビニエンスストアにとっては、相手が「超高層」である必要はありません。10階建て程度のマンションであっても良いのです。これでも立派なPCになります(図5)。仮に、その周辺に、強い同業店があったとしてもです。
やはり、マンションの直下にコンビニエンスストアがあれば、その住人はその店を利用してくれるものです。
では、そういうマンションのようなポテンシャルクラスター(PC)がやや離れたところにある場合はどうか?その場合は、このPCと駅、あるいはこのPCと別の大型商業施設(SMや量販店)との動線が狙い目です。ちなみに、「動線」は、人々の「日常生活行動線」の「行動線」を略した書き方ですので、「導線」と表記してはいけません。
あるいは、また、PCの出入り口から、良く見える場所、視界性評価が良い場所を選ぶことをお勧めします。もちろん、良く見えるばかりでなく、そのPCから難なく到達できるような立地でなければなりません。幹線道路があって横断歩道がなかったり、川があって橋がなかったり、というような状態では、せっかくPCがあってもその恩恵に浴することができません。このあたりのことはまた後述します。
前回、お話ししたTG(トラフィックジェネレーター)と今回のPC(ポテンシャルクラスター)は、立地の基本中の基本で、マクロを見ていく上でもっとも重要な視点ですので、決して忘れないでください。
キャプション
図1
ポテンシャルクラスター(PC)であるための条件は、①密集性、②囲み、③少ない出入口がいずれも成り立っていることです。
図2
愛知県犬山市に見つけられた典型的なポテンシャルクラスターです。○の部分が「PC由来のTG」であり、最良の立地です。
図3
東京湾岸で見つけられたポテンシャルクラスターです。ここで、「囲み」に該当するのは、海と南北に流れる大きな2つの河川です。
図4
東京、JR恵比寿駅の北側にあるPC構造です。大きな楕円で描かれた所は斜面になっていて、その人々はたいてい恵比寿駅に向かう際に、図に描かれたコースを通ります。すなわち、ここが「動線」となります。
図5
13階建てのマンションの一角に出店している事例です。当然ながら、このマンションが大きなPCになっているため、周辺に数多くの同業店があってもその立地上の優位性は崩れません。
23/06/12
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大きなポテンシャルが近くにある立地
住んでいる所、働いている所、用事で出かける所、それらの「近く」に店があることは便利=コンビニエンスです。つまり、こういう場所にコンビニエンスストアがなければ、人々は納得しません。しかし、店の側から言えば、その「近く」に多くの人々がいることが繁盛する条件です。
ポテンシャルクラスター(PC)
そうです。この店の近くにある人々がたくさんいるような施設、あるいは地域は、お客様になってくれるポテンシャル(潜在性、可能性)を多分に持っているのです。
とはいえ、半径100メートル、ないし300メートルの円を描いて、その中に住む人口を集計すれば、そのポテンシャルがわかる、売上予測ができる、そんな単純な話しではありません。
むしろ、地形や人々の集まり方が特殊であるような場所、地域であるとひじょうに繁盛しやすいということが分かっています。これが、ポテンシャルクラスター(PC)です。
どういうように特殊かというと、3つの特殊条件を挙げることができます。
第一の特殊性。密集性。
これは、言わずもがな人々が密集していることです。密集して暮らしている。密集して就業している。そのようなことがなければなりません。
第二の特殊性。囲み。
この地域が、自然や人工のさまざまなもので囲まれていて、閉鎖的な状態になっていることです。中から、好きな方向へ好きなように行ったり来たりできるわけではないということです。例えば、ある住宅街の周囲が大きな山や河川に囲まれている、田畑に囲まれている、産業道路のような横断し難い幹線道路が走っている、といった状態にあることです。
第三の特殊性。少ない出入口。
地域の周囲が囲まれていると、その中にいる人々の行動は限定的になっていきます。つまり、その地域を出入りする場所が、たいへん少ないようなことになります。1カ所しかない、あるいは2、3カ所しかないということもよく起こります。
たとえば、図2は、ある地方都市の近くに見られたポテンシャルクラスターですが、周囲は田畑や用水路に囲まれていて、道も狭いため車で行き来できません。唯一、往来できるのは北側の道路です。そして、その北側の道路が最初に出会う交差点で、人々は初めてどの方向にも行けるようになります。
その交差点は、ここのポテンシャルクラスターに住む人々のほとんどが通る場所です。こういう場所は、「ポテンシャルクラスター由来のトラフィックジェネレーター(PC由来のTG:ティージー[交通発生源])」と呼びます。
こういう場所は、典型的な繁盛立地です。
PCは地域でもあり、施設でもある
ポテンシャルクラスターという立地の言葉は、最初、図2のような地域に対して名付けられたものです。ですから、面的な広がりをもったものでした。
図3は、海に面した地域によく見つかるポテンシャルクラスターです。これなどは、南側が海、両側を大きな河に囲まれ、北側を幹線道路が横切っています。そのため、出入りする場所がいくつかに限られてしまいます。もちろん、そうした出入口は、PC由来のTGという繁盛立地です。
PCの探し方
地図を見ていくだけでも、PCを見つけることができます。一番わかりやすいのは、「○○団地」とか、「○○住宅」というように地域に名前が付けられているようなところです。
そして、そういった所の住人が最寄りの幹線道路に出る際に、どこに出てくるか、そこの住民になったつもりで考えるとPC由来のTGも見つけることができます。
もちろん、地図よりも、実際に現場に行って、実査することが重要です。
すると、その周辺がPCのような構造になっていることが判明したりします。そして、候補物件が、その動線上にあるならば好立地と判断できるでしょう(図4)。
超高層マンション
また、ポテンシャルクラスターは、住民が暮らしているような地域とは限りません。就業者が集まっている地域や、流通団地や工場団地のように、車やトラックが頻繁に出入りするような地域にも当てはまります。
さて、最近、40階建てとか50階建てというような超高層マンションがよく建てられるようになりました。これは、3つの特殊性のどれもが当てはまります。
つまり、①密集性、②囲み、③少ない出入口の3つです。
ですから、典型的なポテンシャルクラスターということができます。事実、超高層マンションが1棟建っていれば、それだけで中型のスーパーマーケットの経営が成立してしまうほどです。
もちろん、コンビニエンスストアにとっては、相手が「超高層」である必要はありません。10階建て程度のマンションであっても良いのです。これでも立派なPCになります(図5)。仮に、その周辺に、強い同業店があったとしてもです。
やはり、マンションの直下にコンビニエンスストアがあれば、その住人はその店を利用してくれるものです。
では、そういうマンションのようなポテンシャルクラスター(PC)がやや離れたところにある場合はどうか?その場合は、このPCと駅、あるいはこのPCと別の大型商業施設(SMや量販店)との動線が狙い目です。ちなみに、「動線」は、人々の「日常生活行動線」の「行動線」を略した書き方ですので、「導線」と表記してはいけません。
あるいは、また、PCの出入り口から、良く見える場所、視界性評価が良い場所を選ぶことをお勧めします。もちろん、良く見えるばかりでなく、そのPCから難なく到達できるような立地でなければなりません。幹線道路があって横断歩道がなかったり、川があって橋がなかったり、というような状態では、せっかくPCがあってもその恩恵に浴することができません。このあたりのことはまた後述します。
前回、お話ししたTG(トラフィックジェネレーター)と今回のPC(ポテンシャルクラスター)は、立地の基本中の基本で、マクロを見ていく上でもっとも重要な視点ですので、決して忘れないでください。
キャプション
図1
ポテンシャルクラスター(PC)であるための条件は、①密集性、②囲み、③少ない出入口がいずれも成り立っていることです。
図2
愛知県犬山市に見つけられた典型的なポテンシャルクラスターです。○の部分が「PC由来のTG」であり、最良の立地です。
図3
東京湾岸で見つけられたポテンシャルクラスターです。ここで、「囲み」に該当するのは、海と南北に流れる大きな2つの河川です。
図4
東京、JR恵比寿駅の北側にあるPC構造です。大きな楕円で描かれた所は斜面になっていて、その人々はたいてい恵比寿駅に向かう際に、図に描かれたコースを通ります。すなわち、ここが「動線」となります。
図5
13階建てのマンションの一角に出店している事例です。当然ながら、このマンションが大きなPCになっているため、周辺に数多くの同業店があってもその立地上の優位性は崩れません。