ここは都内で4番目の激戦地 武蔵増戸

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ここは都内で4番目の激戦地 武蔵増戸

立地について,月刊コンビニ

2017/10/26 ここは都内で4番目の激戦地 武蔵増戸

典型的なローカル線の駅ですが、ここは都内で4番目の激戦地 武蔵増戸

 

東京の新宿駅から、西へ約40km、快速中央線を乗り継いで1時間半のところにJR武蔵増戸駅があります。乗降数は5千396人(※注)と少なく、典型的なローカル線の駅ですが、ここは都内で4番目も激戦地です。500m圏内の人口が3千人強に対して3店舗、1店舗当たりの支持人口が1008人しかありません。

 

ローカル立地の原則

人口が少なく、かつ、流出の多い地域での出店では必ず注意すべきことがあります。

まず、①交通量の多い幹線、またはこれに準ずる道路に面していること。

次は、②広い駐車場を確保していること。

そして、③スピードの速い自動車道路の場合は、交差点ないし信号が直近にあること。

 

もちろん、これでじゅうぶんという訳ではありません。店または看板の視界性が良いこと。TGに面していること。徒歩や自転車でも来店可能であること。近くに、PC(ポテンシャルクラスター)があること。これらの条件が満たされれば、そうでない店に対して有利な立地ということになります。

 

店①(セブンイレブン)

店が面している道路は、都内でも名高い五日市街道で、都心と五日市以西を結ぶ大動脈です。片側で2車線ある上、中央分離帯がなく店とは反対側の車線からも来店が可能です。

さらに、14台分の駐車場を有しており、そこには大きなトラックでも数台駐車ができる余裕があります。

交差点から約100m離れているものの、店の視界性は良い状況です。すなわち、店は緩やかにカーブする道路の外側に位置しており、かつ、サインポールは、12m以上と高いためほぼ正面に見えるからです。

すなわち、この店は、ローカル立地の条件をじゅうぶん満たしています。

加えて、この店の周囲はもっとも住宅が密集していますので、徒歩、自転車での来店も十分期待できる立地です。

 

店②(セブンイレブン)

店は、駅からの500m圏内からやや離れるものの店①と同じ五日市街道沿いです。中央分離帯もなく、また、道路が緩やかにカーブしており、その外側に位置しているため視界性は良い。駐車場が14台分確保されていることも①と同条件です。加えて、この店は信号のある交差点角地にあり、店前に横断歩道がある上、バスの停留所も敷地前にありません。いずれも、有力なTG(交通発生源)とみることができます。

看板が低いことが難点ですが、店そのものが100m以上離れてもドライバーの正面に見えてきますので問題とならないでしょう。

店①との距離は650mと自動車では近い部類に入りますので、互いに競合を起こしていると考えるべきです。それでもなお、互いに面している車線が異なりますので、目的別の使い分けが可能(例えば、往きに店①を使い、帰りに店②を使うなど)であり、そのインパクト(強度)は少し弱まります。

 

店③(ファミリーマート)

この店と次の店④は、南北を走る生活道路に面しています(生活道路とは、主にその周辺に住む人々が文字通り生活に使う道路を指し、産業道路や観光道路などと対比して用います)。南北を結ぶ道路は、東はここから約3km、西は2km強離れたところまで行かないとありません。したがって、この道路は周辺の人々にとって、生活「幹線」と呼んでも良いほど利便性の高い道路です。10台分の駐車場があることで、そのポテンシャルをじゅうぶん吸引できます。

店に近いT字型交差点は、北西方向約500mのところにある日の出団地から、人々が出てくるTGになっています。

日の出団地は、周囲を丘に囲まれており、その住民のほとんどは暮らしの中でこの交差点を利用していると考えられます。こうした団地のような構造をPC(ポテンシャルクラスター:需要集合体)と呼んでいます。店③がその大きな好影響を受けていると考えられます。

 

店④(セブンイレブン)

店③と武蔵増戸駅とのほぼ中間に、店④があります。駐車場は10台。店の隣には、夜間10時まで営業するスーパーマーケット(I店)が出店しています。主にこのI店が、日の出団地を含め周辺に住む人々の日常生活必需品を供給していると考えられます。すると、店④はこれを時間的にも、商品的にも補完するような形で、有利な状況にあるとみることができます。

 

将来予測

武蔵増戸周辺でコンビニが増加している背景には、人口が増えつつあることが挙げられます(グラフは、駅周辺1km)。5年毎に、2~5%増加しており、駅や駅周辺に次々と住居が新築されています。地価が低いことに加え、自然の魅力、近くに大型レジャー施設があるなどが人口増を後押ししているようです。

今後もこの流れは変わらないと思われるものの大きな急増は望めないでしょう。店が増加した分、他店の採算割れを招き、少しでも立地の負けた店は撤退せざるを得ません。

 

 

店①、店②のここを学べ

 

いずれも店前道路がゆるやかにカーブしています。もっと正確に言えば、店前あたりからそのカーブが始まっています。こういう立地であると、店や店の看板(サインポール)は、100メートル以上手前から、自動車ドライバーのほぼ正面に見えるのです。

つまり、ドライバーが視線を動かさなくても見える。これはひじょうに良い視界性だと言うことができます。「ゆるやかに」という点も重要です。これが、「急角度で」となりますと、仮に視界性が良くても、今度は店敷地へのINがひじょうに難しくなるからです。

店①、②はほぼ理想的な状況です。

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※注 2008年度、駅別乗降者数総覧‘11(株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所)より

 

 

はやしはら やすのり
東京大学卒業後、日本マクドナルドで「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用。 現在はチェーン展開する多くの企業や起業家をコンサルティングしている。定期的に開催しているセミナー“立地道場”は個人にも店舗開発プロにも人気がある。

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