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107-0062 東京都港区南青山2-2-15-942
月~金 9:00~18:00
大手町駅から地下鉄 葛西駅
大手町駅から地下鉄で8駅目の葛西駅
都心の大手町駅から地下鉄で8駅目の葛西駅は、古くから東京のベッドタウン化が進み乗降数にして9万7121人(※注)。さらにこの4年間の伸び率も6.37%と高い。それだけにコンビニ店の数も増加の一途を辿り、今回の実査では500m圏で実に21店舗を数え、前回の23位から今回12位とコンビニ激戦度は急速に高まっています。
地域A(駅南側の一帯)の6店舗
駅の南口を出てすぐバスロータリーがあり、これに最も近い場所に店①があり駅利用客にとっては最も利便性の高い立地にあります。店①の前には、地下駐輪場の出入り口があり、駅、バスに続きこれも重要なTG(トラフィックジェネレーター:交通発生源)となっており立地上ほぼベストと言えます。
店②は信号のある交差点を渡る必要はあるもののその視界性評価はほぼ満点です。交差点が大きなTGになっています。この交差点からやや南に店③がありますが、視界性はあまり良くありません。南へ向かう人々は気づかないかもしれません。ただし、店の隣に駐車場があり視界を遮らないので、南から駅に向かう人々はじゅうぶん知覚できます。
店②がある交差点から東へ向かう道路沿いには少しずついろいろな店が増えつつありますが、それもこの通りが緑なす街路樹が植栽されているなどアメニティが良いためでしょう。通りには⑮セブンイレブン、⑯ローソンストア100、⑰ミニストップが50mおきに出店し凌ぎを削っています。駅に近い⑰が立地としては勝っています。
地域B(永代通りを越えた一帯)の4店舗
環七通りと永代通りの交差点角地の最も有利な立地に店④が出ています。最新の地図ではサンクスとありましたが、今はローソンに変わっています。車は4台分停められます。問題は、どの道路にも中央分離帯があり、反対側車線からの進入ができないことです。救いは、Uターン禁止ではないので、東のほうからやってきた来店客は元の方向に帰っていくことができることです。
店⑤、⑥、⑦はいずれも車道には面しているものの駐車場がありませんので、主たるターゲット層は徒歩客でしょう。とりわけ、店⑤は交差点までの距離がほかよりありますので立地としてはかなり難があります。
また、店⑥は店③と動線がかぶりますので、同じチェーンであるだけ余計に互いに負のインパクトを受けざるを得ません。
店⑦は至近距離に10~13階建てマンションがいくつも建っており、その良い影響があるとすいそくされます。
地域C(西500mを南北に道路)の3店
店⑧は、永代通りとの交差点の角地にあります。ただし、駐車場はありません。歩行者、自転車来店を期待できる立地です。
店⑨は閉店してしまいました。なぜでしょう。コラムで解説します。
店⑩は角地にあり、その近くには、6~8階建てのマンションがいくつもあります。加えて、66台分の車を停められる駐車場を擁する葛西区民館にほぼ近接しており、それらの潜在需要を期待できます。また、東西の道路はきれいに整備された植栽と水路があるため付近住民が集まる格好の散策路になっています。
地域D(葛西橋通り)の2店舗
店⑫は新店舗ですが、まさに絵に書いたような良い立地です(コラム参照)。
店⑬はフリースタンディング(独立店舗)型の店で、駐車場が8台あります。車も通行人も顧客化できる立地です。
地域E(葛西駅北側の地域)の6店舗
環七通りの西側5店舗、立地のセオリー通りに交差点角地にあるものの、動線や商圏が互に被っているため、どれも互いに負の影響を与え合っていると推測されます。
唯一、店⑱はまったく異なる動線上にあり、かつ店隣には14階建ての大きなマンションを控えていますので、立地上は有利です。
以上のどの地域にも属さず、離れた地点にココストアが出店していますが、直前の変形した6叉路がかろうじてTGになっています。
この失敗に学べ
店9が閉店した理由
さまざまな理由がありますが、立地上の理由は、葛西駅と西葛西駅とのほぼ中間に位置していることです(図1)。そのため、この店9の商圏は、その中間地点まで距離にして150mしか伸びないのです。それより向こう、すなわち西葛西駅寄りに近い人たちは、西葛西駅を利用してしまい、よほどのことがない限り物件前を通ることはありません。ですから、商圏が極端に狭まってしまいます。これを「2駅分散」と言い、立地上の難点の一つです。
この成功に学べ
店12が開店した理由
この店は、もともと準備した地図には載っていませんでした。しかし、掲載されていない場合でも、「出店しそうな立地」はチェックしておかなければなりません。
この交差点は、北に向かう商店街の大きめの道路と葛西橋通りが交差する場所です。
しかも、陸橋がある一方、横断歩道もあります。それならば、人々は横断歩道を利用として、通常より集中することになります。そこで、この交差点に店が出せると踏んだのですが、果たしてその通り、通行人をきわめて意識した看板を付けたコンビニが出店していました。図2
近未来予測
葛西駅周辺は、今後も住宅の高層化が進んでいくと思われます。それに伴い、人口・世帯数、商業力も高まっていきます。今回の実査で、出店可能な立地がいくつも見つかっています。ですから、数店の出店は考えられます。ただし、近接し過ぎた店舗同士やTGのない店は厳しい経営を迫られるでしょう。
※注 2008年度、駅別乗降者数総覧‘11(株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所)より
はやしはら やすのり 東京大学卒業後、日本マクドナルドで「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用。 現在はチェーン展開する多くの企業や起業家をコンサルティングしている。毎月開催しているセミナー“立地道場”は個人にも店舗開発プロにも人気がある。
23/06/12
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地域A(駅南側の一帯)の6店舗
駅の南口を出てすぐバスロータリーがあり、これに最も近い場所に店①があり駅利用客にとっては最も利便性の高い立地にあります。店①の前には、地下駐輪場の出入り口があり、駅、バスに続きこれも重要なTG(トラフィックジェネレーター:交通発生源)となっており立地上ほぼベストと言えます。
店②は信号のある交差点を渡る必要はあるもののその視界性評価はほぼ満点です。交差点が大きなTGになっています。この交差点からやや南に店③がありますが、視界性はあまり良くありません。南へ向かう人々は気づかないかもしれません。ただし、店の隣に駐車場があり視界を遮らないので、南から駅に向かう人々はじゅうぶん知覚できます。
店②がある交差点から東へ向かう道路沿いには少しずついろいろな店が増えつつありますが、それもこの通りが緑なす街路樹が植栽されているなどアメニティが良いためでしょう。通りには⑮セブンイレブン、⑯ローソンストア100、⑰ミニストップが50mおきに出店し凌ぎを削っています。駅に近い⑰が立地としては勝っています。
地域B(永代通りを越えた一帯)の4店舗
環七通りと永代通りの交差点角地の最も有利な立地に店④が出ています。最新の地図ではサンクスとありましたが、今はローソンに変わっています。車は4台分停められます。問題は、どの道路にも中央分離帯があり、反対側車線からの進入ができないことです。救いは、Uターン禁止ではないので、東のほうからやってきた来店客は元の方向に帰っていくことができることです。
店⑤、⑥、⑦はいずれも車道には面しているものの駐車場がありませんので、主たるターゲット層は徒歩客でしょう。とりわけ、店⑤は交差点までの距離がほかよりありますので立地としてはかなり難があります。
また、店⑥は店③と動線がかぶりますので、同じチェーンであるだけ余計に互いに負のインパクトを受けざるを得ません。
店⑦は至近距離に10~13階建てマンションがいくつも建っており、その良い影響があるとすいそくされます。
地域C(西500mを南北に道路)の3店
店⑧は、永代通りとの交差点の角地にあります。ただし、駐車場はありません。歩行者、自転車来店を期待できる立地です。
店⑨は閉店してしまいました。なぜでしょう。コラムで解説します。
店⑩は角地にあり、その近くには、6~8階建てのマンションがいくつもあります。加えて、66台分の車を停められる駐車場を擁する葛西区民館にほぼ近接しており、それらの潜在需要を期待できます。また、東西の道路はきれいに整備された植栽と水路があるため付近住民が集まる格好の散策路になっています。
地域D(葛西橋通り)の2店舗
店⑫は新店舗ですが、まさに絵に書いたような良い立地です(コラム参照)。
店⑬はフリースタンディング(独立店舗)型の店で、駐車場が8台あります。車も通行人も顧客化できる立地です。
地域E(葛西駅北側の地域)の6店舗
環七通りの西側5店舗、立地のセオリー通りに交差点角地にあるものの、動線や商圏が互に被っているため、どれも互いに負の影響を与え合っていると推測されます。
唯一、店⑱はまったく異なる動線上にあり、かつ店隣には14階建ての大きなマンションを控えていますので、立地上は有利です。
以上のどの地域にも属さず、離れた地点にココストアが出店していますが、直前の変形した6叉路がかろうじてTGになっています。
この失敗に学べ
店9が閉店した理由
さまざまな理由がありますが、立地上の理由は、葛西駅と西葛西駅とのほぼ中間に位置していることです(図1)。そのため、この店9の商圏は、その中間地点まで距離にして150mしか伸びないのです。それより向こう、すなわち西葛西駅寄りに近い人たちは、西葛西駅を利用してしまい、よほどのことがない限り物件前を通ることはありません。ですから、商圏が極端に狭まってしまいます。これを「2駅分散」と言い、立地上の難点の一つです。
この成功に学べ
店12が開店した理由
この店は、もともと準備した地図には載っていませんでした。しかし、掲載されていない場合でも、「出店しそうな立地」はチェックしておかなければなりません。
この交差点は、北に向かう商店街の大きめの道路と葛西橋通りが交差する場所です。
しかも、陸橋がある一方、横断歩道もあります。それならば、人々は横断歩道を利用として、通常より集中することになります。そこで、この交差点に店が出せると踏んだのですが、果たしてその通り、通行人をきわめて意識した看板を付けたコンビニが出店していました。図2
近未来予測
葛西駅周辺は、今後も住宅の高層化が進んでいくと思われます。それに伴い、人口・世帯数、商業力も高まっていきます。今回の実査で、出店可能な立地がいくつも見つかっています。ですから、数店の出店は考えられます。ただし、近接し過ぎた店舗同士やTGのない店は厳しい経営を迫られるでしょう。
※注 2008年度、駅別乗降者数総覧‘11(株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所)より
はやしはら やすのり
東京大学卒業後、日本マクドナルドで「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用。 現在はチェーン展開する多くの企業や起業家をコンサルティングしている。毎月開催しているセミナー“立地道場”は個人にも店舗開発プロにも人気がある。