ローカルな西武新宿線の小川駅

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ローカルな西武新宿線の小川駅

立地について,月刊コンビニ

2017/10/26 ローカルな西武新宿線の小川駅

東京としてはかなりローカルな西武新宿線の小川駅   月刊コンビニ連載2012年3月号

 

今回は、JR新宿駅から西へ22km、東京としてはかなりローカルな西武新宿線の小川駅(乗降数は27812人、※注1)を実査しました。都内20位の激戦地です。

 

小川駅500m圏の夜間人口は6815人(※注2)、昼間人口は6948人(※注3)。ここに6店舗(うち3店がセブンイレブン)が出店し激戦となっています。駅の東口と西口に地域を分けて考えることができます。

駅の東口地域

ローカル地域での出店は、(定石A)TGを確実に押さえる、(定石B)自動車来店を確実に押さえる、そのいずれしかないと考えるべきです。では、小川駅周辺のコンビニの配置はそのどちらかの定石を用いているかを検証していきましょう。

駅の東口は、小ぶりのロータリーになっており、タクシーは常に2、3台待っています。そして、駅を背にして左側に近接して店①が出店しており、「鉄道駅」というTGを確実に押さえています。加えて、店前歩道は、ブリヂストン東京工場(従業員数997名※注4)と駅を結ぶ最短の動線になっています。店①は定石Aをクリアしています。

駅から200m弱で府中街道に出ますが、この街道沿いに同じチェーンの店②が出店しています。この店舗の主たるターゲットは明らかに自動車来店です。駐車場は12台確保されておりコンビニとしては十分な台数と考えられる。府中街道は片側2車線のよく整備された幹線道路ですが、中央分離帯がところどころにあるのがやや難点です。しかし、店は交差点の角地にありますので、ちょうど中央分離帯が切れます。その上、反対側車線に右折専用ラインがあることもあって、通行車両のポテンシャルを十分取り切ることができます。店②は定石Bをクリアしています。

 

駅の西口地域

駅の西口には、駅前ロータリーはなく、駅出入り口からすぐ道路がほぼまっすぐに西へ向かって続いており突き当りが「職業能力開発総合大学校東京校」や「東京障害者職業能力開発校」、病院などのTGがあります。当然、これらTGと駅との間には動線が形成されています。

店③は、駅直近に出店しており、店①同様、定石Aをクリアしています。すなわち、駅出入り口を利用するほとんどすべての人がその店の存在に気付くとともに、誰もが何の障害もなく店への入出が可能です。定石Aをクリアしています。

これに対して、店④は上記の同線から店1軒分離れた位置にあります。店④は定石Aをクリアしているとはいえません。この動線からの離れが致命的です。しかし、ここに限って、店③より客数が圧倒的に多いことに気づき驚かされます。

推測するに、周辺に、スーパーマーケットのような生鮮品を扱う大型店がないので、店④の業態が住民にとってその代替になっていることがその理由と考えられます。

店⑤は、ほぼ動線上にあります。また、先に列挙したTGに最も近いこともあって、この立地もほぼ定石Aをクリアしていると判定して良いでしょう。ただし、店③から強いマイナスのインパクトを受けていることは確かです。

 

店⑥はどうでしょう。この店には6台分の駐車スペースがあります。したがって、自動車での来店を期待していると考えられます。少なくとも徒歩や自転車で通行する必然性はきわめて低いのでそれは最低限不可欠なスペースです。しかし、必然性を言えば、店前を多くの自動車が往来する必然性もきわめて低いので、車での衝動来店もほとんどないでしょう。定石ABもクリアできていないと考えられます。

 

 

店②の「ここを学べ!」

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ローカルな地域に限らず、幹線道路は多くの場合、中央分離帯が設置されています。これがあると、1)反対側車線からのINができず、かつ2)反対側車線へのOUTができないという立地上のきわめて大きな制約を受けます。極端な場合は、店前を店側車線で通りがかる人しか顧客対象にならないこともあります。自宅や所用先から店に来てくれたお客様も、来た方向に帰ることができませんので、目的来店ができなくなるからです。

その点、店②のように、信号のある角地に出店することができれば、中央分離帯による上記のような制約から逃れることができます。

A:店側車線からのIN

B:店側車線へのOUT

C:反対側車線からのIN

D:反対側車線へのOUT

 

店⑥の「ここを学べ!」

店⑥は駐車場があるばかりか、もう一つ大きな長所があります。それは、鉄道踏切に近接していることです。“開かずの踏切”というような状況にならないならば、踏切は、歩行者や自転車利用者のTGになることが多く、立地要因としては強い味方になります。

 

 

 

 

 

 

 

店① セブンイレブン

店② セブンイレブン

店③ セブンイレブン

店④ ローソン100

店⑤ スリーエフ

店⑥ ファミリーマート

 

近未来予測

駅乗降数が2万人を超えるとはいえ、その大半は工場や大学校の通勤・通学によるものと考えられ、500m人口が6000人余りに過ぎないことを踏まえると、ここはきわめて小さなマーケットと言えます。現状では、6店舗でほぼ飽和していると考えられますが、今後の人口増加や流入増加につながる工事や計画が見当たらず、店舗数は減ることはあっても増えることは期待できません。

 

 

※注1 2007年度、駅別乗降者数総覧‘10(株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所)より

※注2 2005年度国勢調査

※注3 2000年度リンク統計

※注4 2010年12月、ブリヂストン公式ホームページより

 

はやしはら やすのり
東京大学卒業後、日本マクドナルドで「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用。 現在はチェーン展開する多くの企業や起業家をコンサルティングしている。毎月開催しているセミナー“立地道場”は個人にも店舗開発プロにも人気がある。昭和31年生55才 http://www.sorb.co.jp

 

 

  チェーン名 角地 備考
1 セブンイレブン 駅構内  
2 セブンイレブン  
3 ファミリーマート 4と競合
4 ファミリーマート 3・5と競合
5 セブンイレブン  
6 ローソン100  
7 ローソン 6,7,8,4,5と競合
8 ファミリーマート  
9 サンクス ビル1F 駅動線あり
10 ローソン ビルB1F 駅動線あり
11 サークルK 独立店舗  
12 ミニストップ ビル1F  
13 ampm 閉店
14 ファミリーマート  
15 ミニストップ 公園から視界性良好
16 ローソン100 ×  

 

 
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