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107-0062 東京都港区南青山2-2-15-942
月~金 9:00~18:00
コンビニも多数出店して大激戦の篠崎駅
人口は増加中でそれなりだが、コンビニも多数出店して大激戦の篠崎駅周辺
今回は、コンビニ激戦区の7位、都営地下鉄新宿線「篠崎駅」周辺です。
この駅は、1990年に新設された駅で比較的新しい駅ですが、以来その乗降数は右肩上がりに増え続け、2009年度では32,968人に達しています。地理的には、東京都の東の境界、江戸川沿いに近く駅から南250mには、東西に京葉道路が走っています。人口も駅乗降数同様、増加の一途を辿っておりでは、駅から500m圏内は11,890人(2005年の国勢調査)となっています。
23区内では珍しい新興住宅地と言うことができます。
しかしながら、ここに14店舗ものコンビニが開店し、凌ぎを削っている激戦区となっています。
出店しているエリアは大きく3つあり、北側に東西に走る鹿骨街道、篠崎駅周辺、南側の京葉道路沿いです。
鹿骨街道沿いの4店
自動車道路沿いならば、そこを行き交う自動車ドライバーを狙うのが正攻法です。
しかし、1のローソンストア100には駐車場がないため、これが困難になっています。この店の袖看板が約10mの高さに設置されていること、そして車の交通量が多くないため路上駐車も不可能でないことから、車での来店も念頭においた出店と考えられます。
この店のほぼ斜向かいに、2のローソンが出店しています。
こちらのほうは駐車場が5台確保されており、ブルーのあの立派なポール看板が立てられています。その看板は、街路樹がさほど高くないことが幸いして店側道路の100m手前からの視界性評価は「良」です。さらに、この店は信号のある交差点角地にありますが、その北側の住民が駅やその手前のスーパーマーケットに向かう主要な動線上にあるので、この交差点自体がTG(交通発生源)と言えますので、徒歩・自転車での来店がじゅうぶん加わります。
3のミニストップは間口が15m以上あり、駐車は5台以上、あきらかな自動車ドライバー狙いの立地です。
この店にもポール看板が立てられているものの街路樹が視界障害になり、視界性評価は低い状況です。TGと言える交差点からの視界性評価にもやや難がある状況です。
4のセブンイレブンは、自動車ドライバーを狙うには申し分のないほど優秀な立地です。
まず、敷地が広く普通車だけでも16台は停められます。トラックでも数台可能な広さがあります。
また、敷地の道路際に建てられたポールは、店側車線から正面に見えます。これは道路がややカーブしているからです。反対側車線からの視界性評価も優良です。道路が拡幅工事のため空き地があるからです。
この道路は東京都心から北上する際、渋滞に遭わずに行ける便利性が高い道路で、商圏は広域に広がることが容易に推測できます。この意味でも、このセブンイレブンの立地は繁盛立地と言えます。
篠崎駅周辺
一昔前なら、駅前はファストフードの独壇場と思われていましたが、今は違います。居酒屋チェーンやファミレスも含め多くのチェーンが出店攻勢をかけています。コンビニも例外ではありません。
篠崎駅の北口を出るとほぼ斜め正面に、6のサンクスが目に入ります。駅からの視界性評価は良好です。
また、南口を出ると7のファミリーマートが見えます。こちらも視界性評価は良好です。
いずれもファストフードであってもおかしくない立地です。
さて、5のスリーエフはどうしたでしょう。位置的には駅から見える場所ではありませんので、そちらに向かって歩いていきますと、その場所には「テナント募集中」とあります。閉店してしまいました。
6のサンクスとは店を1つ挟んで隣同士でしたから、売上は強いマイナスの影響を受けたであろうことは間違いありません。
京葉道路沿いの6店
一番西に位置する8のサンクスは、駐車場が広く11台分確保しています。
やや低めのサインポールが立っており、これが店側道路にそって50m手前の交差点で自動車が止まると目に飛び込んできます。
ただし、走行中の自動車から店もしくはサインポールを知覚するのは、道路が左にカーブしているため難しい状況です。
同じ道路沿いで300m行くと9のセブンイレブンがあります。
このセブンは回転ずしとの共同出店です。そのため駐車場は28台以上確保されています。しかし、視界性評価は8のサンクス同様、難があります。それは、回転ずし店と共同看板である上、その手前にある牛丼店やラーメン店の看板と融合してしまい単独なものとして知覚できないからです。
視界性の救いは、店が信号のある交差点角地にあることです。一時停車した車からはよく見えます。
さらに300m行ったところにあるハズの10のファミリーマートはどうでしょう?
ここも信号のある交差点角地です。しかし、それらしい店舗はありません。閉店したようです。
跡地を見る限り、この店には駐車場は無く、ポール看板も設置できなかったと伺われます。そうなると自動車ドライバーを顧客化することは難しかったでしょう。
さらに200m、11のローソン。
この店の視界性もきわめて難があります。街路樹に遮られしまうからです。もちろんサインポールは立っているのですが見えません。
ただし、この店には4台と少ないながら駐車できます。また信号のある交差点角地でもあります。
ですから、立地は決して悪くはありません。
京葉道路を渡って反対側はどうでしょう。
12のサンクスは、駐車場が12台とれた上に、視界性がひじょうに良好です。
それは、通常10m前後あるポール看板ではなく、5mしかないものを使っているからです。これならば、道路の両側を街路樹で覆われた道路にあって、その街路樹の下部分に看板が見えるからです。
これはよく考え抜かれたものです。「看板は高ければ良いというものではない」その実例です。
そこから約400m、13のローソンはどうでしょう。
ここも10m看板が設置されているにもかかわらず、それより低い5m高と2m高の看板を置いています。そして、駐車場も9台確保しています。ただ、残念なことは、店の敷地と隣地の間に塀が立てられており、店がまったく見えないことです。
その他の場所
14のコミュニティストアは、文字通り住宅街のど真ん中にあります。
TGはありません。あえてTGを挙げるなら、近くの中学校ということになるのでしょうが、その正門から見えませんし、黙っていてこの店の前に来る必然性はまったくありません。
ここは、かなり厳しい立地です。
総括
篠崎駅周辺14店舗は、この1年ほどの間に2店舗減っていました。人口が増加中とはいえ、人口の絶対数が足りません。1店舗当たり1000人未満の支持人口しかありません。ですから、立地を間違えるとそれは即命取りだということです。
閉店を余儀なくされます。交差点角地に付ける、視界性評価を高める、少なくともこの2点は欠かせない立地基準です。そういう立地基準を満たさない店舗が4店舗以上あり、人口の増加とは裏腹にまだ撤退する店が出てくることが予想されます。
【プロフィール】
はやしはら やすのり 東京大学卒業後、日本マクドナルドで「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用。 現在はチェーン展開する多くの企業や起業家をコンサルティングしている。毎月開催しているセミナー“立地道場”は個人にも店舗開発プロにも人気がある。http://www.sorb.co.jp
鹿骨街道沿い
篠崎駅近隣
京葉道路沿い
23/06/12
22/05/20
21/12/30
21/08/04
21/08/03
21/08/01
21/07/31
21/07/10
21/07/09
21/07/08
TOP
人口は増加中でそれなりだが、コンビニも多数出店して大激戦の篠崎駅周辺
今回は、コンビニ激戦区の7位、都営地下鉄新宿線「篠崎駅」周辺です。
この駅は、1990年に新設された駅で比較的新しい駅ですが、以来その乗降数は右肩上がりに増え続け、2009年度では32,968人に達しています。地理的には、東京都の東の境界、江戸川沿いに近く駅から南250mには、東西に京葉道路が走っています。人口も駅乗降数同様、増加の一途を辿っておりでは、駅から500m圏内は11,890人(2005年の国勢調査)となっています。
23区内では珍しい新興住宅地と言うことができます。
しかしながら、ここに14店舗ものコンビニが開店し、凌ぎを削っている激戦区となっています。
出店しているエリアは大きく3つあり、北側に東西に走る鹿骨街道、篠崎駅周辺、南側の京葉道路沿いです。
鹿骨街道沿いの4店
自動車道路沿いならば、そこを行き交う自動車ドライバーを狙うのが正攻法です。
しかし、1のローソンストア100には駐車場がないため、これが困難になっています。この店の袖看板が約10mの高さに設置されていること、そして車の交通量が多くないため路上駐車も不可能でないことから、車での来店も念頭においた出店と考えられます。
この店のほぼ斜向かいに、2のローソンが出店しています。
こちらのほうは駐車場が5台確保されており、ブルーのあの立派なポール看板が立てられています。その看板は、街路樹がさほど高くないことが幸いして店側道路の100m手前からの視界性評価は「良」です。さらに、この店は信号のある交差点角地にありますが、その北側の住民が駅やその手前のスーパーマーケットに向かう主要な動線上にあるので、この交差点自体がTG(交通発生源)と言えますので、徒歩・自転車での来店がじゅうぶん加わります。
3のミニストップは間口が15m以上あり、駐車は5台以上、あきらかな自動車ドライバー狙いの立地です。
この店にもポール看板が立てられているものの街路樹が視界障害になり、視界性評価は低い状況です。TGと言える交差点からの視界性評価にもやや難がある状況です。
4のセブンイレブンは、自動車ドライバーを狙うには申し分のないほど優秀な立地です。
まず、敷地が広く普通車だけでも16台は停められます。トラックでも数台可能な広さがあります。
また、敷地の道路際に建てられたポールは、店側車線から正面に見えます。これは道路がややカーブしているからです。反対側車線からの視界性評価も優良です。道路が拡幅工事のため空き地があるからです。
この道路は東京都心から北上する際、渋滞に遭わずに行ける便利性が高い道路で、商圏は広域に広がることが容易に推測できます。この意味でも、このセブンイレブンの立地は繁盛立地と言えます。
篠崎駅周辺
一昔前なら、駅前はファストフードの独壇場と思われていましたが、今は違います。居酒屋チェーンやファミレスも含め多くのチェーンが出店攻勢をかけています。コンビニも例外ではありません。
篠崎駅の北口を出るとほぼ斜め正面に、6のサンクスが目に入ります。駅からの視界性評価は良好です。
また、南口を出ると7のファミリーマートが見えます。こちらも視界性評価は良好です。
いずれもファストフードであってもおかしくない立地です。
さて、5のスリーエフはどうしたでしょう。位置的には駅から見える場所ではありませんので、そちらに向かって歩いていきますと、その場所には「テナント募集中」とあります。閉店してしまいました。
6のサンクスとは店を1つ挟んで隣同士でしたから、売上は強いマイナスの影響を受けたであろうことは間違いありません。
京葉道路沿いの6店
一番西に位置する8のサンクスは、駐車場が広く11台分確保しています。
やや低めのサインポールが立っており、これが店側道路にそって50m手前の交差点で自動車が止まると目に飛び込んできます。
ただし、走行中の自動車から店もしくはサインポールを知覚するのは、道路が左にカーブしているため難しい状況です。
同じ道路沿いで300m行くと9のセブンイレブンがあります。
このセブンは回転ずしとの共同出店です。そのため駐車場は28台以上確保されています。しかし、視界性評価は8のサンクス同様、難があります。それは、回転ずし店と共同看板である上、その手前にある牛丼店やラーメン店の看板と融合してしまい単独なものとして知覚できないからです。
視界性の救いは、店が信号のある交差点角地にあることです。一時停車した車からはよく見えます。
さらに300m行ったところにあるハズの10のファミリーマートはどうでしょう?
ここも信号のある交差点角地です。しかし、それらしい店舗はありません。閉店したようです。
跡地を見る限り、この店には駐車場は無く、ポール看板も設置できなかったと伺われます。そうなると自動車ドライバーを顧客化することは難しかったでしょう。
さらに200m、11のローソン。
この店の視界性もきわめて難があります。街路樹に遮られしまうからです。もちろんサインポールは立っているのですが見えません。
ただし、この店には4台と少ないながら駐車できます。また信号のある交差点角地でもあります。
ですから、立地は決して悪くはありません。
京葉道路を渡って反対側はどうでしょう。
12のサンクスは、駐車場が12台とれた上に、視界性がひじょうに良好です。
それは、通常10m前後あるポール看板ではなく、5mしかないものを使っているからです。これならば、道路の両側を街路樹で覆われた道路にあって、その街路樹の下部分に看板が見えるからです。
これはよく考え抜かれたものです。「看板は高ければ良いというものではない」その実例です。
そこから約400m、13のローソンはどうでしょう。
ここも10m看板が設置されているにもかかわらず、それより低い5m高と2m高の看板を置いています。そして、駐車場も9台確保しています。ただ、残念なことは、店の敷地と隣地の間に塀が立てられており、店がまったく見えないことです。
その他の場所
14のコミュニティストアは、文字通り住宅街のど真ん中にあります。
TGはありません。あえてTGを挙げるなら、近くの中学校ということになるのでしょうが、その正門から見えませんし、黙っていてこの店の前に来る必然性はまったくありません。
ここは、かなり厳しい立地です。
総括
篠崎駅周辺14店舗は、この1年ほどの間に2店舗減っていました。人口が増加中とはいえ、人口の絶対数が足りません。1店舗当たり1000人未満の支持人口しかありません。ですから、立地を間違えるとそれは即命取りだということです。
閉店を余儀なくされます。交差点角地に付ける、視界性評価を高める、少なくともこの2点は欠かせない立地基準です。そういう立地基準を満たさない店舗が4店舗以上あり、人口の増加とは裏腹にまだ撤退する店が出てくることが予想されます。
【プロフィール】
はやしはら やすのり
東京大学卒業後、日本マクドナルドで「立地と売上予測」を基礎研究し実践応用。 現在はチェーン展開する多くの企業や起業家をコンサルティングしている。毎月開催しているセミナー“立地道場”は個人にも店舗開発プロにも人気がある。http://www.sorb.co.jp
鹿骨街道沿い
篠崎駅近隣
京葉道路沿い